ジャニーズアイドルに歌ってほしいあの高樹詞この高樹節~堀込高樹作詞トニセン曲「不惑」発表に寄せて~
とんでもないニュースが飛び込んできた。
V6新作、トニセン曲はKIRINJI堀込高樹が作詞の「不惑」 - 音楽ナタリー
あの高樹が、男性アイドルの、ジャニーズの、V6の、トニセンの作詞をやるだって???!!!?!?!?!?!?!!?
神はわたしをお見捨てにならなかった!
生きているうちにこのような恵みにあずかることができようとは。
なんたる幸福!なんたる奇跡!
わたしはスマホを強く握りしめながら、事務所だとか、レーベルだとか、とにかくわたしの知りえぬ大いなる力に感謝した。
熱心でもないが信仰といえるほどの強さで、わたしは堀込高樹の作る音楽を愛している。
堀込高樹は1996年から2013年まで弟・堀込泰行とキリンジとして活動した。現在はKIRINJIと改め6人組バンドを結成している。以下は兄弟時代の楽曲。
多様な音楽性を見せる高樹の作風をおそれおおくもひとことで表すとするならば、「偏屈」である。
わたしはとりわけ大学時代、キリンジばかり聴いていた。英雄的でなく、幻想的でないひねくれた恍惚は、当時のわたしの求める最上の音楽であった。
しかしまもなく弟・ヤスの脱退が発表され、埋められぬ寂しさを抱えつつネットを徘徊していたわたしは、NONA REEVESの名前からこのインタビューにたどり着くことになる。
V6「kEEP oN.」西寺郷太&corin.インタビュー (1/4) - 音楽ナタリー Power Push
「Sexy.Honey.Bunny!」「kEEP oN.」を手がけた「にしこりコンビ」。V6再ブレイクの立役者として、この二人の名前を知らないファンはいないだろう。
この記事そのものがアイドル音楽への愛に満ちた名インタビューであるが、わたしが驚いたのは冒頭で西寺さんが語っているこの箇所である。
そもそもイノッチってキリンジとかTRICERATOPSとかノーナとか、ま、あえて言うけど“通”が聴くような音楽にものすごく詳しくて。
ほう、と興味を持ったわたしはセクバニを聴いて度肝を抜かれ、キーポンの奇曲っぷりに混乱し、イノッチ=井ノ原快彦=あさイチのアナウンサーだと思っていた人、ということに気づいてさらに動揺した。
そのうえ追い打ちをかけたのは、西寺さんのラジオに井ノ原さんがゲスト出演した際に披露された弾き語りである。
なんという上質な歌声!なんという繊細な技巧!このように品の良い歌唱をするジャニーズがこの世に存在したとは。しかも、あの「あさイチの素朴な顔の人」が!(各方面にお詫びします。)
どうにもアイドル歌唱に苦手意識の強かったわたしが、ものの見事に心臓をブチ抜かれてしまった瞬間であった。
このことがきっかけでわたしは不用意にもジャニーズの岸辺にうっかり近寄ってしまい、果てにはメジャーアイドルという大海にぽうんと投げ出されてしまうことになったのである。
ところで、これまでに高樹とジャニーズに全く接点がなかったわけではない。
高樹は過去に2度、SMAPに作曲提供しており、『BIRDMAN』に収録の「idea」、そして『S map』に収録の「愛の灯 〜君とメリークリスマス〜」がそれである。
両曲ともにファンが聴けば「めっ高樹~~~!!!」と叫びたくなることうけあいの複雑怪奇なメロディーラインが特徴である。
そのせいか(特に後者は)やたら木村さんのソロパートが目立ち、また吾郎ちゃんのダンスはたいへん窮屈そうな仕上がりとなっている。(なおわたしは吾郎ちゃんのダンスが大大大好き。)
残念ながら作詞は手がけていないであろうが無理もない、絶頂期のSMAPが歌うにはあのころの高樹詞は不穏すぎた。
この2曲で高樹はメジャーアイドルへの楽曲提供に限界を感じたのであろうか、その後ジャニーズとの縁は途絶えてしまった。
またどこかしらのインタビュー記事で、インタビュアーが楽曲提供について水を向けたものの、アイドル楽曲との相性の悪さを口にしていたこともあった。
まあそんなわけで、盲目的な高樹信者であり、V6と井ノ原快彦をジャニーズ音楽の入り口としたわたしが、今回のことに乱舞しないわけがない。
半ば諦めの気持ちでいたことが、ついに実現した!しかも今回は作詞提供、高樹の男性アイドル観を見ることのできる初めての機会なのである。
2016年5月9日現在、わたしたちが知りうるのは「不惑」という曲タイトルのみであるが、もう、これだけで高樹ファンは垂涎ものである。
「不惑」!ジャニーズアイドルの楽曲で「不惑」って!もう最高!既に最高!高樹最高!という狂いっぷり。
その溢れんばかりの「高樹感」を受けとめ、自分のものとして昇華しきれるジャニーズアイドルなんて、井ノ原快彦を擁するトニセンのほかにはないのである。
と「不惑」への期待をはちきれんばかりに抱え込んでいる現在なのであるが、ここまではあくまで前置き。長々とお待たせいたしました。
この記事でやりたいのは要するに、大好きなジャニーズに歌ってほしい大好きな高樹詞はこれだ!!!という安易な妄想大会である。
この妄想はジャニーズにはまった当初からわたしの脳内を占有していたが、思ったより早く絶好の機会が訪れてしまったため、ここいらで一丁暴露大会を催してしまおうという趣向だ。
そのなかで高樹詞の世界観を端的に言い表してしまうことには抵抗があるのだけれども、そんなみみっちいことをほざいていては紹介のしようがないので、どうか主観的な解釈として受け流していただきたい。
誰が楽しいかって、ほかでもなく、わたしが楽しい。
高樹には珍しくわりとストレートなロック調、で内容は若い女(おそらく水商売)に貢ぐ男の「純愛」の歌。
「欲しいものをあげる 飽きるまで何度も それを『愛ではない』なんて言わせない」とSMAPおじさんたちに歌わせたら、なんという説得力!
「フェイクファーに埋もれた柔らかな頬 守りたいだけさ」という印象的なパートは木村さんにゴージャスに歌唱してほしい。
▼稲垣吾郎「メスとコスメ」
その昔フィッシュマンズの佐藤さんにソロ曲を作ってもらうこじらせっぷりを発揮していた吾郎ちゃん、きっと高樹曲も歌いこなしてくれるに違いない。
簡単に言ってしまえば再会した元恋人が整形していたみたいな歌なんですけども。
「きっとなればいい 君はなればいい 君のなりたい”本当”になればいい」吾郎ちゃんにぴったりの台詞。
▼TOKIO「繁華街」
(※高樹ではなくヤスの作詞作曲であるとのご指摘がありました。ご不快に思われたかたがた本当に申し訳ございません!恥を知れ!)
古風でムーディーなサウンドに、しっくりと静かなメロディーライン、「珠玉の街」で始まるサビが美しい曲。正直に言います、城島リーダーのイメージです。
「俺は傘を欠いたまま 在るだけの噂を買い占め 夜更けへ挑む」なんていうハードボイルド、リーダーにぴったりとしか言いようがない。
▼V6「都市鉱山」
奇曲まみれのキリンジのなかでもとりわけ珍奇な一曲。
ライブではテンション爆上げ曲。ダンス映えもしそうだし、これを表現できるのはキーポンを我が物としたV6兄さんしか考えられない。
高樹史上最高にキレた歌詞「いらなくなったPCおくれよ はずかしい画像は消したか?」はぜひ三宅さんに歌ってほしいなあ。
最後の元素記号連呼するところも、アイドル現場でやったらめちゃくちゃ楽しいだろうなあ。ホルミウム!タンタル!ランタン イッテルビウム!
▼井ノ原快彦「ハピネス」
本事件の中心人物こと井ノ原さんには、既婚者が女という生き物をしずかに哀れむこの歌詞を。ゆったり洒落たサウンドも彼の声質にぴったりかと。
「知るかよ!」「笑わせるなっつうの!」の名フレーズをしっとりと歌い上げてほしいし、「ハピネスはピンクのシャンパンの泡のようなものだと君は信じてるの?」なんて見下してほしい。
▼Kinki Kids「いつも可愛い」
シティ・ポップの寵児ことキンキ先輩がキリンジを歌って楽しくないわけがない。
とはいえ声質の問題でなかなか選曲が難しいが、このゲンズブールふうのねっとりとした曲調はしっくりくるのではないだろうか。ふわふわ甘いメロディーラインにあだめいた歌詞、サビの美しいハモリなどもおあつらえ向きである。
「甘い夢だけ見ていたいね 二人のときは」
▼嵐「千年紀末に降る雪は」
これは以前からかなり推してる組み合わせ。サンタクロース=与える人の孤独を見つめる、高樹の詞のなかでも文学性の高いクリスマス・ソング。
「恋人はサンタクロース 意外と背は低い」「『ごらん、神々を祭りあげた歌も、貶める言葉も今は尽きた。』」「君が待つのは世界の良い子の手紙 君の暖炉の火を守る人はいない」なんて、今やアイドル界において不動の地位を得た嵐さんと重ね合わせることで、またこの詞の奥行きが増すように思う。
▼タッキー&翼「エトワール」
代表的な曲調がキリンジとかけ離れているために選曲が難しいがこの曲で。キリンジ初期のプロデューサーである冨田恵一氏のアルバムに収録されている。
タイトル通りバレリーナを主題とし、ストリングスのやや大仰なアレンジ。
「愛を囁きあうパ・ド・ドゥ踊れ」「影さえも裁ち切るピルエット回れ」なんて歌詞はどこかトンチキさもあって、滝翼の得意分野ではなかろうか。
▼NEWS「ブラインドタッチの織姫」
実際のファン層はもうすこし若いのかもしれないが、NEWSさん自身(特にコヤシゲ)に何故だかOL感が漂っているので、この選曲。
「善男善女が競う恋の技 君は腕だめしに気遅れて…」と寄り添っておきながら、サビで軽率にチューしようとするどうしようもないチャラさ。いっぽうで「この星は青くて丸い屑籠」なんてマクロ目線が入るのはアイドルソングみがあって楽しい。
シゲアキ先生もキリンジ聴いてらっしゃるんですよね。好きな曲とか知りたい。
▼関ジャニ∞「奴のシャツ」
高樹自身、若干やりすぎたと反省している程度にやりすぎた歌詞。
「ボタンを掛け違えたまま大人に」なってふらふらと生きているどうしようもない男の歌なのだが、やさぐれ男を歌わせてエイト兄さんの右に出るものはいないであろう。
やさぐれたすばるさんあたりに「姪が歯医者に行くので付き合」ってほしいし、やさぐれた丸山さんあたりに「そうさ遺産があればしばらくしのげる」と呟いてほしいし、やさぐれた大倉さんあたりに「親父の通夜で絡まれ」てほしい。
▼KAT-TUN「悪玉」
一貫してスタイリッシュでかっこいいヒールを演じてきたKAT-TUN、そろそろダサくてかっこわるいヒールも歌ってもらえるんじゃないだろうか。
「ギリギリでいつも生きていたい」とデビューした彼らが「捨て身の奴に負けはしない 守るべきものが俺にはあるんだ」と歌ったらばものすごいカタルシス。
それにさ、上田さんはボクシングやってるからな(それが言いたかっただけ)。ちなみに中丸さんの歌声は井ノ原さんと1、2を争うほど高樹詞と相性が良いと思う。
「マイク寄越せ早く!」とわちゃわちゃしあうのも想像できていいね。
デリカシーがなくてたいへん申し訳ないのだが削れなかった。
脱退を発表する前からずと考えていたんですけれど、キリンジにしては陽気で軽やかな曲調にかわいらしくも皮肉のきいた歌詞が乗っかったこの曲。
あのどうしようもなくふわふわとした微笑みを浮かべながら「キスを見舞うぜベイビー」「林檎が腐ってなければいいね」なんていちいち語尾に♪マークをつけて歌ってほしい。
今となって改めて歌詞を見ると図らずも「これで浮世と暫しのお別れさ」「遠くまで行けるかな 堕ちるすべなら皆心得てる」なんかが刺さる。
▼Hey!Say!JUMP「今日も誰かの誕生日」
ライムスターの宇多丸師匠がSMAPに歌ってほしいと言っていたこの曲であるが、この真っ当さとキラキラ感、現在の位置的にはJUMPが歌っても良いのではないだろうか。かわいいかわいいJUMPちゃんたちがお誕生日パーティーを開くMVでよろしく。
あえていうなら「世界は憂鬱 いつでも残酷」は知念さんに、「だけど今夜は最高」は有岡さんに、「あなたが優しく蝋燭を吹き消せば」は薮様に歌ってほしいかな。
▼中島裕翔「わたしの青い空」
裕翔りんを好きになったきっかけって実をいうと、藤井隆さんに声質が似ているなあと思ったところからなわけで、まあわたしの都合の良い耳のせいであって実際はさほど似てないのだけれども、とにかく藤井ちゃんの曲はまるっと裕翔りんに歌ってほしい。
高樹が藤井ちゃんに提供してる曲は4曲(うち1曲は作曲のみ)あって、迷うけれどやっぱりこれかな。裕翔りんならこの素晴らしい曲と素晴らしいMVを、無表情で低体温に再現できるだろう。それはそれは奇妙で愉快でお美しいのだろうなあ。
裕翔りんに「卒業 誕生日 迎えるたび君の値打ち下がるなんて 馬鹿だな」なんて歌われるその想像だけで軽く昇天できる。
▼伊野尾慧「かどわかされて」
これも以前からツイッターでわりとうるさく言っているんですが、サビの「かどわかされた他愛のない審美眼 甘い誘惑 溜息まじり あばずれの毒(プワゾン)」だけでもうめちゃくちゃ伊野尾さん。
伊野尾慧の魅力にかどわかされる人が後を絶たない現在、この曲をなんでもないように、鼻歌みたいに歌ってほしい。
▼Kis-my-Ft2「Golden harvest」
高樹自身が自画自賛するできばえのこの曲、とにかくコード進行とメロディーラインが難解すぎるが、歌詞は比較的ポジティブで爽やか、かつ詩的で美しい。
「明日になったらきっと誰もが君の正しさに頷くだろう」「実りの季節にきっと誰もが讃えるだろう君のsuccess」なんてちょっと強い歌詞も、キスマイにはそのくらいのストレートさが合う。
▼Sexy Zone「君の胸に抱かれたい」
高樹にしては珍しいハッピーソングかと思いきやそう一筋縄にもいかないんですけれども、「君をこの腕でつつみたいんだ」と歌った直後「君のその胸に抱かれたい」とくるその矛盾はSexy Zoneっぽいなあと。
「君は泣くふりも素敵だ 姿のいいひとよ」なんてマリウスちゃんに歌われたらどんな感情になったらよいのかわからない。
▼中島健人「十四時過ぎのカゲロウ」
「水辺の生き物だから陸では生きてゆけない気がしている」でふと浮かんだのがケンティーさんであった。ケンティーのアイドル道はスポーツ選手のストイックさそのものだ。
「欲しいものは見えている」なんていう貪欲さも。
A.B.C-Zの明るくポップな持ち歌がとても好きなんですけれども、この曲くらいの脱力感あるポジティブさも楽しそう。
えびさんたちが住宅街とかのなんでもない通りをふらふら歩きながら「この町の景色をもっと君が愛したのなら世界は変わる」なんてのんびり歌うMVが浮かんでくる。
「流れ星を見逃しても」「昨日の涙はstar dust」なんていう星モチーフが多いのもぴったり。
▼ジャニーズWEST「クレゾールの魔法」
病院で出会った風邪ひきの女性にフェチを感じている、高樹お得意の変態歌詞。
洒落たピアノ伴奏がかえって腹立たしいのだが、ラジオ等でなんともいえない誰得な妄想をたびたび披露しているWESTさんたちにニヤニヤと歌ってほしい。
▼中間淳太「ロマンティック街道」
以前WESTに歌ってほしい曲アンケートみたいなのをやっていて、これを投票して浮きまくっていたのはわたしです。
はやく結婚したい、なんて年中ぼやいている系アイドルお淳太さまにこの曲を、とはいえ結婚までに実らなかった恋の歌なんだけれども。
「孔雀のように誇らしく生きてゆきたい」に夢抱きの衣装を連想したなんてそんなことはない。たぶん。
▼すべてのシンメに「耳をうずめて」
高樹詞のなかでも難解を極めるこの曲、兄弟自身のことを歌っているとする解釈が一般的なのかな。
ひとりがふたりになる、その出会いを極めて静かに、低い体温で歌ったものであるが、普遍的なシンメソングですらある。
「僕ら音楽に愛されてる、そう思うのか?」なんていうドキッとするような問いかけを、すべてのシンメたちは、そしてシンメを持たないアイドルたちは常にどこかへ投げかけ続けているのだろうなあ。
楽しかった~~~~~!!!!!!!!!
好きなものと好きなものを組み合わせるのってほんとう楽しい!オタクやっててよかった!
ともあれ「不惑」、とってもとっても楽しみにしています!