拝啓、自担様(2) 願うだけのその夢よりも

 

拝啓、西畑大吾様。

自分でもあきれるほど、あなたのことを信じています。

 


Berryz工房を好きになり、アイドルの世界に足を踏み入れたわたしでしたが、他のグループに強い関心が湧くわけでもなく、近づいてきた卒論への憂鬱を動画巡りで有耶無耶にする日々。

それはあまりにも突然の、まったく偶然のできごとでした。

 

2014年の10月ころ、活動休止中のCHEMISTRYの近況が気になり、川畑要さんの名前で動画の検索をかけました。そこで2、3番目あたりの候補として出てきたのが、「まいど!ジャーニィ~」という番組に川畑さんがゲスト出演したときの動画でした。

ジャニオタ内ではあまりにも有名なこのバラエティー番組、当時は関西ジャニーズJr.の若手6人(向井康二、金内柊真、平野紫耀、西畑大吾、永瀬廉、大西流星)がMCを務めており、川畑さんが出演したのは2014年6月8日の放送でした。

イマドキのジャニーズJr.は単独番組も持っているのかあ……と遠い目をしながら、当時20歳~12歳という若さだった6人の、現代っ子らしくゆるい喋りにははらはらさせられました。CHEMISTRY時代から非常に安定感のある川畑さんのトークはとても聞きやすく、川畑さんはソロになってますます色っぽくなり、番組ラストで披露した歌唱はこちらが誇らしくなってしまうほど絶品でした(最も印象に残った回を挙げるまいジャニ大賞2014でも、向井くんがノミネートしてくれました)。

 

しかしわたしは間もなく、気がついてしまったのです。

なよっちいジャニーズJr.6人組の中に、ジャニーズらしからぬ硬派な黒髪短髪の男の子がひとり、いたのです。しかもお顔だちもくっきりと濃いめで、目がくりっと大きく、八重歯がかわいらしい、驚くほどわたし好みの美少年ではありませんか!

そうです、それが朝ドラ「ごちそうさん」出演直後でまだ髪が伸びきっていない、いわゆる坊主期の西畑大吾さん、あなたでした。

 

大吾ちゅんの容姿にひと目惚れして、まいジャニの他の動画も見始めました。リアルではもちろんのこと、ツイッターの二次元用アカウントでも、あの散々バカにしてきたジャニーズにはまっているなんて恥ずかしくて、しばらくは明かせませんでした。

憎むべきジャニーズの襟足を持たない硬派さに惹かれたものの、大吾ちゅんも普段はフワフワ襟足のきゅるきゅる系アイドルであることはすぐにわかりました。今でこそぐっと大人びた男性になられましたが、当時17歳のあなたといったらまるで中学1年生にしか見えず、小瀧望ちゃんや平野さん、金内さんと同い年だと知ったときはほんとうに信じられなくて、実年齢に慣れるまでにしばらく時間がかかったほどです。ステージでは全力で踊り、過剰なほどカメラアピールをする姿がほほえましく、でも性格はリアリストでオタク気質なところも、とても好みでした。

いっぽうで番組を見渡してみると、6人のMCはあまりにも未熟で、関西らしく笑いを取ろうとする姿勢が余計に痛々しくて。番組の最後にあるステージも到底できが良いとはいえなくて、ジャニーズJr.というものに対して抱いていたなんとなくのイメージ(チャラチャラしていて、子供っぽくて、軽薄で、あまり苦労していなさそう)からあまり外れない印象を受けました。

 

それなのに、わたしはいつの間にか心から楽しんで彼らのMCを見守るようになりました。そのきっかけを正確に思い出すことができませんが、とりわけ2014年4月13日放送回が誰にとっても重要だったのは間違いありません。

2014年の年明けにCDデビューを発表したジャニーズWESTのメンバーへ、後輩であるまいジャニメンバーがそれぞれ感謝の手紙を読み上げる企画。わたしはジャニーズWESTのメンバーすら誰ひとり知らない状態でしたが、見るからにまいジャニメンバーとはアイドルとして格の違う、堂々たる先輩たちでした。彼らを送り出すために、6人が号泣したり、なんとか堪えたりしながら手紙を読み上げるさまは、まさに彼らが関西Jr.のトップを継承しようとする感動的な場面でした。その言葉はあどけなくて、拙くて、思わず笑ってしまうようなものばかりでしたが、先輩の意志を汲み、必死に自立しようと背伸びする後輩たちの物語が、まざまざとありました。関西Jr.がひとつの大きなまとまりとして歴史を繋いでゆくさまは、まさに伝統芸能のようで(それはどこかハロー!プロジェクトの形態に似ていて)、この頼りなげな少年たちが背負ってゆくものの壮大さに、涙せずにはいられないのでした。

 

その物語を知ったうえで見る関西ジャニーズJr.のステージは、あらゆるジャニーズのパフォーマンスのなかでも最もエモーショナルな瞬間が詰まっています。なかでも2014年1月8日放送のザ少年倶楽部で披露された、現ジャニーズWESTメンバーとまいジャニメンバーの総勢13人による『Next Stage』は、関西Jr.に渦巻くあらゆる事象が爆発した、最高傑作のひとつでした。

明日をも知れぬジャニーズJr.たちがガツガツとしたパフォーマンスに乗せて歌う、「僕を信じて」「君の声聴こえてる」という歌詞の絶望的な輝きといったら!ファンにとっては、ジャニーズJr.という存在のはかなさを理解していながらも、そう歌う彼らに期待を抱かずにはいられない残酷さ。ジャニーズJr.たちにとっては、見知らぬ他人のさまざまな希望を背負っているのだということを、否が応でも自覚させられる苛酷さ。胸を掻き毟られるように苦しくて、美しい歌詞です。

 

アイドル、なかでもジャニーズやハロプロのような大手老舗の若手アイドルたちは、たしかに本人たちの実力とは必ずしも関係なく、大人たちの采配によってスターに押し上げられたり、逆にその座から降ろされたりするか弱い存在です。それなのに多くのメディアに出たり、無条件にちやほやされたりしますので、苦労していなさそうと勘違いされることも少なくありません(「苦労」を感じずにトップになるアイドルだっていますが)。

でも彼らが無力で、ちっぽけな少年少女であるほどに、彼らが重たく長い歴史や、大衆の欲望と嫉妬や、郷里や世界といったものを一身に受けとめようともがく姿の健気さに、わたしたちは浅はかにも感涙するのだと気づき、わたしはまたしてもアイドルファンの罪深さをひとつ数えました。Berryz工房によってアイドルの世界に導かれたわたしは、関西ジャニーズJr.を通して、アイドルというシステムそのものに魅了されてしまったのです。

 

さて、ジャニーズWESTのデビューをめぐり急激に移り変わる関西Jr.のなかで、西畑大吾というアイドルは至極静かに存在し続けました。わたしが彼らを見始めたのは、ちょうど平野さんと永瀬くんが東京に進出し始め、大吾ちゅんは堂本光一さんの舞台『endless SHOCK』出演という大役に選ばれたころでした。そんな激動の状況にありながらも、わたしがあなたから目を離すことができたのは、「今後彼らにどんなことがあっても、大吾ちゅんだけは絶対に大丈夫」という全幅の信頼があったからです。弱冠17歳のいちジャニーズJr.に対してそのような期待を寄せるのはとても危険なことだと、今になってわかりますが、でも、それを裏切られたことはこの2年間いちどだってありませんでした。

誰もがすぐにわかるとおり、大吾ちゅんは非常に聡明で、精神的に安定しており、尽きることのない情熱を持ったアイドルです。人情家でありながら、表面的には決して揺らぐことなく、フラットに周囲の変化を見つめ、かつしたたかに自らを高めてゆきました。そして、目を離していたにもかかわらず無責任にこう表現することを許していただきたいのですが、ふと気がつけば関西Jr.のセンターに君臨していました。

大吾ちゅんのような才能ある人が、人目につきやすいポジションにいることは、とても望ましく嬉しいことです。しかも、あなたには関西ジャニーズJr.という巨大かつ特殊な集団をまとめ上げることのできる器量が万全に備わっています(言うまでもなく、ひとりの力ではありませんが)。最近では立て続けに映画出演が決まり、事務所も積極的に盛り立ててくれます。しかしJr.たるもの、その立ち位置になにが起こっても不思議ではありません。大吾ちゅん自身もまだまだ成長途上にあり、アイドルとして完成形に至るまでには長い時間がかかることでしょう。それでも、現体制になって初めての新曲『Dream Catcher』で、その強い瞳でもって前を見据えるあなたなら、絶対にすべてを成し遂げてくれるだろうと、信じてやみません。

いわば大吾ちゅんにひと目惚れをしたせいで、数年前のわたしには到底信じがたいジャニオタという現状にあるわけですが、それを後悔せずに済んでいるのもまた、あなたのおかげです。あなたの活躍を見るたびに、「わたしをジャニーズに陥れた男は、こんなにも立派なアイドルなのだ!」と、誇らしくなるのです。その身勝手で重い欲望を注いでも、あなたはすっかり飲み干してなお爽やかに、高みを目指してくれるに違いありませんから。

 

「生まれたてのこれからを信じて」と歌うあなたへ、わたしは未来永劫、絶望的に期待し続けることでしょう。きっとこれから目にするたくさんの人たちのなかでも、わたしにとってあなたは世界でいちばん信頼すべきアイドルなのです。

 

かしこ

「一度だけの夜明け」を祈るあなたのファンより